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突発的に小説を書いてみる。
月1くらいで連載していけたらいいな。

構想はありません。

完結するのかな?(笑)

―――――――――――――――――――――――――

ハム・アクトレス




 この世界は虚構に溢れている。
 テレビ番組というものは虚構の最たるもので、ブラウン管の向こうでどれだけ端整な男女が楽しそうに恋愛ドラマを繰り広げていようとも、俺が寝転がっているソファの牛革の香りの現実感には到底敵わない、ということを、俺の目の前で長い脚を組みながらファッション誌を眺めている女に態度で教えられている真っ最中だ。
 たまらなく居心地が悪い。
 俺の仕事場でありプライベート空間でもある事務所に女が居座っているのだから無理もなく、せめてストレスを紛らすべく、手探りでテーブルの上に転がっているであろうショッポの箱を掴むも中身は空だった。


「煙草は吸わないで」
「ここは俺のテリトリーだ」
「関係ないわよ。私、煙草嫌いなの」
「ったく……。中身は?」
「ゴミ箱の中よ。返してほしかったら惨めたらしくゴミ漁りでもするのね」
「このアマ……」
 彼女は雑誌から目を逸さずに言う。
 やはり、この世界は虚構に溢れている。
 この性悪な女が、期待の清純派若手女優として世間で持ち上げられている南絢水なのだから。  
 南絢水がこの1年間で獲得した賞は、好感度ランキングから日本アカデミー主演女優賞まで、大小あわせれば星の数にも及ぶ。まさに時代の寵児であり、俺も一般市民同様に勝手な好意を彼女に向けていたのに、蓋を開けてみればびっくり箱のようにピエロが飛び出してきて俺の南絢水に関する理想その他諸々を大槌で砕いていった。
「お前さんのキレイなところは顔だけだな」
「スタイルにも自信があるわよ」
「……ふん」
 鼻を鳴らしてソファに四肢を投げ出すことくらいしか世界の虚構に対抗する手段はなく、当の虚構本人はコーヒーカップに手を伸ばして顔をしかめる。
「冷めているんだけど」
「…………」
「冷めているんだけど」
「俺はお前さんの小間使いじゃないんだが」
「今までの男は全員私の命令どおりに動いたのに。使えないわね」
「文句を言うならおたくのトコの社長さんに言いな。契約書には少なくとも身の回りの世話までしろとは書いちゃねぇぜ」
「そう。そういう契約なら仕方ないわね」
 南絢水はコーヒーカップを流し台へ持っていき、中身を全部排水溝へ流してしまった。もったいないが、俺がそれを指摘しても彼女は聞き入れないだろう。彼女の性格からしても、テレビ越しに印象付けられた芸能人特有の物に対する価値観的にも、コーヒーを捨てるという行為に疑問を持つ見込みはまったくない。
 俺は頭の中でカレンダーを描く。
 芸能事務所「アート&ムービーズ」から依頼された南絢水のボディーガード。その契約期間の残り日数を数えてみた。
「あと1ヶ月もあるのか……」
 ため息しか出なかった。
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プロフィール
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マリツキ
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性別:
男性
自己紹介:
bush cloverの主宰者やってます。
bush cloverというのは同人ゲーム製作サークルですよ。
担当はシナリオ、音楽、背景などなど。

作詞や演劇の脚本とか書いてみたいと思う今日この頃……。
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